MT車(マニュアルトランスミッション車)の運転で一番難しいのは発進ではないでしょうか?
以前街中でMT車を運転する初心者を見かけた事がありましたが、坂道で発進する度にタイヤを「キーキー」と鳴らして、近くにいる立場としては気が気ではない思いをした事があります。
原因はアクセルの吹かし過ぎと、クラッチを急に繋ぎすぎだという事は容易に想像がつきました。
この様にならない為に先に重要な事を伝えますと、アクセルを吹かせば吹かし過ぎる程、発進は難しくなり坂道でも同様です。何故かと言うと回転数が高い程、半クラ状態を長く保たなければいけなくなるからです。

アクセルを吹かし過ぎた状態で半クラを短くしてしまうとギクシャクしたり、急発進になったりしてしまいます。
本記事では初心者が特に苦手とするMT車の発進方法について詳しく説明していきます。MT車の発進をスムーズに行いたいという方は参考にして下さい。
本記事を読んでいる方は車に興味がある方が多いと思いますが、当ブログとは違った内容を含めた車関係のブログを紹介します。
ブログ名から察すると思いますが、車の整備士さんが書いたブログなので整備関係の事等を整備士の視点で書かれた記事がたくさんあります。興味がある方は是非読んで下さい。
上手く発進させる為には座席の位置と角度が重要
まずは運転以前の問題でMT車を上手く発進させる為に重要な事は「座席の位置と角度を運転しやすい状態に調整する事」です。特に注意しなければいけないのは左足でクラッチの踏み込みをしやすいかどうかです。
クラッチ(左足)の操作はMT車を運転するあたって特に重要なので、必ず運転しやすい様に座席の位置と角度を調整しましょう。
- クラッチを踏み切った状態で膝がやや曲がる様に
- ハンドル、シフトノブを操作しやす位置に
上記のポイントを意識して座席を調整していきます。
- 座席を垂直よりやや寝かせた状態の角度にする
- 座席の位置を調整(クラッチを踏み切った状態で膝がやや曲がる程度)
- ハンドルを操作しやすい様に座席の角度を調整(ハンドルの高さ調整を出来る車なら高さも調整)
- 再度クラッチを踏み切って踏みやすい位置か確認
- 2、3を繰り返して運転しやすい位置を決める
一番やってはいけないのは座席が遠すぎてクラッチを踏んだ時に足が伸びきる事です。この状態では左足を上手くコントロール出来ませんし、満足にクラッチを踏み込めなくなってしまいます。
また座席を倒し過ぎて運転する時に自力で起きる様な座席の調整も好ましくありません。この様にするとクラッチやブレーキを踏む時に踏ん張りが利かなくなってしまうので危険です。
しっかりと座席に寄りかかってかつ良い姿勢で運転出来る様に座席の位置と角度を調整する事が重要です。
これから免許を取る方は↓から
MT車の発進手順(平地の場合)
冒頭でも述べましたが、アクセルを吹かし過ぎると発進は難しくなります。なのでアクセルは最小限に吹かす様に習慣づけた方が発進がスムーズにいく様になります。
- クラッチを踏んで1速にギアを入れる
- アクセルを少し吹かす(1,200回転位)
- クラッチをゆっくり上げる
- 左足にクラッチの繋がりを感じたら(車が動き始めたら)クラッチをしばらくその位置で止める
- ある程度走ったらクラッチをゆっくり上げる
発進がスムーズにいくかどうかは4と5の部分が特に重要になります。
クラッチが繋がり出すと左足に感じる物(振動)があります。クラッチの繋がりを感じたら左足を上げずに我慢してそのまましばらく止めます。
クラッチの繋がりはエンジン音やタコメーターでも判別出来ますが、左足で振動を感じる事が一番実践的なので左足でクラッチの繋がりを感じ取れるに意識しましょう。
左足を止めた状態でクラッチの滑りが落ち着いてからクラッチを上げる様にしていきます。
慣れないうちはクラッチが滑っている状態か滑っていない状態かどうかまではなかなか分からないので、クラッチを止める時間を長めにしておいた方が無難です。

ポイントとしてアクセルを吹かせば吹かす程(回転数が高い程)半クラ状態を長く保たなければいけなくなるので、アクセルの吹かし具合を最小限に抑えた方がかえって簡単に発進出来る様になります。
また車によってはアクセルを全く吹かさなくてもアイドリングの回転数だけで発進出来る様な車もあるくらいです。なので半クラの練習をするのであればアクセルを吹かさずに左足だけで発進をしようとする事は割と有効です。
上り坂の発進方法(坂道発進)
坂道発進はサイドブレーキを引いて全く下がらずに発進する方法とサイドブレーキを使用せずに少し下がりながら発進する方法がありますが、今はAT比率が圧倒的に高く上り坂でも結構詰めてくる車が多いので、坂道発進はサイドブレーキを引いて全く下がらずに運転する方法をおすすめします。

- サイドブレーキを引く
- クラッチを踏んで1速に入れる
- アクセルを通常よりもやや吹かす(1,500~2,000回転位)
- クラッチをゆっくり上げる
- 半クラ状態の時にサイドブレーキを戻す
- 平地よりもやや長めに半クラ状態を保つ
- ゆっくりクラッチを戻す
教習所ではアクセルを3,000回転位吹かす様に教えると思いますが、正直言ってここまで吹かす必要はありません。
先述しましたが、回転数が高い方がかえって発進が難しくなります。坂の勾配にもよりますが平地の時よりもやや強めに吹かす程度で十分です。
また坂道発進のポイントとしてサイドブレーキを戻しやすい状態にしておく事も重要です。具体的に言うと半クラ状態になる前に、サイドブレーキのボタンを押して引っ張った状態ですぐに戻せる状態にしておく事です。
ロックがかかった状態で戻そうとすると色々と焦って操作が上手くいかなくなる場合があるので、サイドブレーキはすぐに戻せる状態にしておきましょう。
下り坂での発進方法
下り坂の発進はそれなり勾配がある場合は1速ではなく2速からの発進で十分です。
ほぼエンストする事はありませんし、1速で発進したとしてもすぐに2速にしなければいけなくなるので2速発進の方が効率的です。
- フットブレーキを踏んだ状態でクラッチを踏みギアを2速に入れる
- フットブレーキを放せば自然に動くのでゆっくりクラッチを繋ぐ(必要に応じて半クラ状態を少し保つ)
- アクセルでゆっくり加速する
あまりにも勾配が緩い下り坂の場合は1速で通常通りに発進する場合もありますが、ブレーキを放せばすぐに動く様な勾配の場合はアクセルをあまり使わずに、自然に動いた勢いでクラッチを繋いでも問題有りません。
またクラッチはあまり半クラを意識しなくてもゆっくり繋ぐ様な感じで大丈夫です。
発進してからゆっくり走らなけらばならない時は?
街中を運転する中でバックで駐車する時、狭い脇道から少しずつ顔を出しながら走る時等、かなりゆっくりと走らなければいけない場合があります。
しかしながらMT車の場合、クラッチを繋いでかなりゆっくり走る事は苦手です。
ゆっくり走る為には、半クラで動力を伝えて動いたらクラッチをすぐに切って惰力で走る様にして、また動きたい場合はクラッチで動力を伝えるという作業を繰り返していきます。
このクラッチを繋げたり切ったりする事を断続クラッチと言います。
断続クラッチを上手く出来る様になれば速度や力加減を微調整出来る様になるので、段差のある駐車場等に入れる場合はAT車よりもかえって簡単になります。
まとめ
MT車をスムーズに発進させる為にはとにかく半クラを上手く使えるかどうかにかかっています。
半クラを使いこなす為には左足でクラッチの繋がりと滑り具合を感じる事です。
- 座席はクラッチを踏みやすい様に調整
- アクセルを吹かし過ぎない
- 左足でクラッチの繋がりを感じたらしばらく止める
- 坂道発進の時はサイドブレーキを戻しやすい状態にしておく
- 下り坂は2速発進でも問題ない
- かなりゆっくり走る場合は断続クラッチで微調整
MT車を上手く発進出来るかどうかは左足の使い方にかかっています!
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