車の寿命や乗り心地は運転手のクセによって差が出ますが、MT車(マニュアル車)の場合は特にその差が出てきます。
MT車を運転する場合は両腕と両足を使いますが操作してない手足が無意識のうちに車の操作部分に触ったり置いてしてしまいがちで、無意識な行動が実は車の寿命を縮めているという事は決して少なくありません。
本記事では教習所では教えてくれない様なMT車でやってはいけない事(車の寿命が縮む事)、また車にとって良い事、乗り心地が良くなる事等を挙げていきます。専門的な事はなるべく抜きにして直感的に分かる様に説明していきます。
MT車でやってはいけないこと(車の寿命を縮める行為)
MT車は変速を全て自分で行うので運転の仕方によってはクラッチやミッション系のパーツを傷めてしまう場合があります。
パーツを傷める主な原因として、クラッチを乱暴に繋ぐ、クラッチをしっかり切っていない状態でギアを変えるという行為ですが、他にもついつい行ってしまいがちで実はミッションを傷める運転のクセ等をまとめていきます。
これから個々については「なぜやってはいけないのか?」説明していきます。
半クラッチの使い過ぎや半クラッチ時のアクセルの踏みすぎはNG
教習所では交差点を曲がる時や狭い道を走る時に半クラッチで走る様に教えますが半クラは長ければ長い程クラッチ板は減ってしまいます。クラッチ板は消耗品なので必要以上には半クラで走らない様にしましょう。
また半クラッチはクラッチが滑っている状態なのでアクセルを吹かし過ぎる(踏み過ぎる)のも同様にクラッチ板の消耗が早まってしまいます。
クラッチ板は上手い人だと10万km以上持つと言われていますが、半クラを多用する人の場合は5万kmも持ちません。クラッチ板が消耗すると前兆としてアクセルを吹かしても車があまり進まなくなり、最終的にはクラッチを繋いだのに車が動かなくなってしまったりします。
なので半クラはなるべく使わない様にしましょう。半クラは発進の時に一番使うと思いますが、半クラをあまり使わくてすむコツはクラッチを繋ぐ前はアクセルを吹かし過ぎない事です。
坂道発進の時も教習所では3,000回転位まで吹かす様に教わると思いますがここまで吹かす必要もありません。
左足をクラッチの上に乗せっ放し
左足をクラッチペダルに乗せっ放しにすると無意識のうちに半クラ状態になってしまう場合があります。先述した様に半クラはクラッチ板の寿命を縮めるだけです。
乗せっ放しにすると何よりも足が疲れるだけなのでクラッチを操作しない時の左足はフットレストかクラッチの手前当たりに置いておきましょう。
シフトノブを握りっ放し
シフトノブを常に握り続ける人がいますが、この行為はミッションには良くありません。ギアが入っている状態で走っているとギアの振動がシフトノブまで伝わります。シフトノブを握っていない状態だと振動がシフトノブを介して逃げ場がありますが、握っていると振動の逃げ場が無くなりミッションに負担がかかってしまします。
また握りっ放しにしているとガタガタ道を走った場合等に振動でニュートラルに抜けてしまう可能性も有ります。クラッチを切っていない状態でシフトノブを動かす行為もミッション系のパーツを傷めてしまいます。
なのでシフトノブを握りっ放しにするのはやめましょう。見た目も良くありませんしハンドルを握るのが片手だけになってしまうのでいざという時にハンドル操作もおろそかになってしまいます。
ギアの入りが中途半端な状態でクラッチを戻す
MT車を運転した事がある方はおそらく誰もが経験した事があるとは思いますが、ギアがしっかり入っていない状態でクラッチを繋いで「ガリガリ」と鳴った事はあるでしょう。音からも分かると思いますがパーツが削れている音です。
もし音が鳴ったらすぐにクラッチを踏み直してギアをしっかり入れてからクラッチを繋ぎましょう。車の種類によってはギアが入りづらい場合もありますのでゆっくり落ち着いてギアを入れる様にしましょう。
ガタガタ道でシフトチェンジを行う
ガタガタ道でギアを変える行為もミッションを傷めてしまいます。ガタガタ道ではタイヤの回転がまず安定していません。また左足も思う様に操作できない場合があるので結果的にクラッチを乱暴に繋ぐ事になります。
なのでクラッチを切った状態でガタガタ道に突入してしまったらしばらく繋ぐのを見送って平らな道になってから繋ぐ様にしましょう。
クラッチの下にマットを敷く
純正マットを保護する為にマットを複数枚使用する方が割といますが、クラッチの下にはマットを敷かない様にしましょう。クラッチの下にマットを敷いてしまうとクラッチを踏んでも、マットの厚みでクラッチが完全に切れない場合があります。
動力が伝わった状態でギアを動かすとミッションを傷めてしまいます。
信号待ち等でクラッチを踏みっ放し
教習所では信号待ちの時にギアを1速に入れたままクラッチを踏んだ状態で待機する様に教える所が多いですが、クラッチを長い間踏むとクラッチ系のパーツが発熱してしまうので結果的にパーツの寿命を縮めてしまいます。
なので信号待ちの様に長い間待機しなければならない時はなるべくニュートラルにしてクラッチを繋いだ状態にした方がよいです。
ただし発進が出遅れると後続車に迷惑がかかってしまうので横にある信号やかなり前の車を見て発進するタイミングよりも少し早い段階でギアを1速に入れて後続車に迷惑がかからない様にした方がよいでしょう。
2速発進を頻繁に行う
一部の車(ディーゼル車のトラック等)を除いては基本的に車は1速で発進する様に設計されています。なので2速で発進すると半クラを長く保たなければいけなくなってしまうので2速発進はあまりしない方がよいです。
また2速発進は出足が遅くなる場合もありますし、ノッキング(車が動いている時にガクガク揺れる現象)もしやすくなるのでデメリットの方が多いと言えます。
2速発進は下り坂のみで行った方がよいです。
変速ショックを少なくする為に
MT車の場合は運転の仕方によって変速ショックが大きくなったり小さくなったりします。下手な運転手の隣に乗るとギアチェンジを行う度に縦にユラユラと揺らされてしまいます。
変速ショックが大きいという事は当然ミッションにも負担がかかっているので変速ショックが少ないのに越した事はありません。
変速ショックが生じる原因はタイヤの回転とエンジンの回転が合っていないからです。つまり変速ショックを少なくする為にはアクセルで回転数を調整しながらクラッチを繋ぐ必要があります。
シフトアップでもシフトダウンでも理屈は同じです。アイドリングの回転数でクラッチを繋ぐとエンジンブレーキがかかる様なら少しアクセルを吹かせば回転数を合わせる事が出来ます。
ただこれをいきなり行うのは難しいので最初のうちはアクセルを軽く吹かしながらクラッチをゆっくり繋いでいく事から行っていってギアに対しての回転数を体で覚えてから徐々にクラッチの繋ぎを早めていきましょう。
車の具合を良くするには適度に乗って適度に回転数を上げる
車を大事にしたい為にあまり車に乗らない方もいますが実を言うと逆効果で、車は乗らな過ぎるとどんどん具合が悪くなってしまします。またわずか数百メートルだけ走って終わりという「チョイ乗り」ばかり繰り返すのも車に良くありません。
どの位乗れば良いかと言うこれといった基準はありませんが、最低でも月一給油分位は走った方が良いでしょう。
またMT車の場合はギアチェンジを自在に行えるので、たまには2速や3速でわざと引っ張って回転数を上げる運転を行う事も重要です。普段あまり車に乗らない方もたまには遠出、あるいは長めのドライブをした方がよいです。
まとめ
MT車は自分でギアを変えるのでクラッチ・ミッション系の傷み方は運転手の腕次第と言っても過言ではありません。
行き着く所は上記の4点だけです。
おそらく本記事を読んでいる方はMT車が好きで、大事に上手く乗りたいという方が多いと思います。やってはいけない事とやった方が良い事の意味をよく理解して車にとって負担がかからない運転を心掛けましょう!
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